レーザー治療について


燃える樹(西オーストラリアにて)  撮影:2014年5月

はじめに

鼻粘膜にレーザーを照射して鼻のアレルギーを起こす場を減らし、さらに鼻粘膜のアレルギー反応を鈍くしようという治療です。花粉症の場合には、花粉症のシーズン前に治療を終了しておかなければなりません。1年中アレルギー性鼻炎で悩んでいらっしゃる方、花粉症のシーズン中、症状がつらくて全く仕事にならない方、お薬の服用を減らしたい方が対象です。治療成績が良く、通常、副作用が無い事から、通常のアレルギー性鼻炎の方にも普及してきている治療法です。レーザーにもいろいろありますが、術後の出血が無く、無痛で照射できる点から、当院ではCOレーザーを採用しております。特に、鼻づまりのある症例には効果は絶大で、臭いの回復や、いびきの軽減にもなる利点があります。

* 注意  ただ照射するだけでは治療効果は期待できません。また、どの機械を使用するかではなく、治療効果は術者の技術にかかっています。当院は、2024年1月現在で2776例の治療を行っており、日本で有数の治療数と、膨大なノウハウが 蓄積されています。

術前検査

何のアレルギーがあり、どの位の強さなのかによって照射の仕方が変わります。アレルギー性鼻炎の血液検査が必須です。高血圧や糖尿病のコントロールが出来ていない方は治療できません。

レーザー治療の予約

平日の11時か16時、もしくは水曜・特殊外来の空きのある時間に行います。麻酔開始から最後の血圧チェックまで、30〜40分程度です。血液検査が終わっている場合には、電話で予約可能です。初診時に、いきなりレーザー治療はできません。

麻酔

麻酔薬をしみこませたガーゼを1枚、左右の鼻腔に入れ、15分待機していただきます。これだけで、ほぼ無痛の治療が行えます。ガーゼの入れ方の手技で、痛みに差が出ます。

治療

治療は数分です。粘膜を焼くので、独特の匂いがします。術後、しばらくすると鼻汁、くしゃみ、鼻閉が生じます。程度は個人が大きいです。鼻汁に血液が混じり、沢山出血しているように見える場合がありますが、心配ありません。術中、術後に軽い痛みを感じる人は、15人に1人位、激しく痛みが出た、という方は、2022年8月現在、2701例中2例でした。

 
:レーザー治療前(粘膜が腫れあがり、鼻から呼吸ができない) 右:治療後(鼻腔に隙間ができ、楽に呼吸ができる)

術後治療

術後の鼻閉は、鼻粘膜にカサブタが付着するためで、これを除去する必要があります。1回目は、術後2〜3日以内、その後は週1回の処置を3〜4回行います。日程上、通院間隔が開いてしまう場合がありますが、対応可能です。

副作用

基本的に安全な治療法です。通常、痛みはあっても軽度で心配ありません。嗅覚が鈍くなるのではないか?という質問を時々受けますが、レーザー治療を行う粘膜と臭いを感じる場所は異なるので、嗅覚障害は生じません。

治療成績

以前、693症例の治療成績をまとめた時の結果です。重症例 51%、中等症例 35%、軽症例 6%、血管運動性鼻炎・その他 8% で、他施設からの依頼等で術後、経過の経過が把握できなかった症例は、検討対象からはずしました。症状がほぼ抑えられた症例は 59%、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例は 38%、あまり効果が認められなかった症例は 3% でした。照射2年目の成績は、症状がほぼ抑えられた症例は 29%、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症は 61%、あまり効果が認められなかった症例は 10% でした。
また、3年目でも症状がほぼ抑えられた症例が 6例、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例が9例ありました。あまり効果の認められなかった症例は、高度な鼻中隔彎曲症の合併例、粘膜の過敏性が極度に強い例、外での仕事が主で、花粉に暴露する機会が多かった例等でした。また、照射中、たまにピリッとごく軽度の痛みを感じた症例は 9%(照射への影響は無し)、全くの無痛であった症例は 91% でした。術後、出血があった症例は 0%、術後、鼻汁が増えた(途中で受診しなくなったため、その後不明)という症例が 1例、その他、副作用はありませんでした。

ざっくばらんにまとめると、6割は奏功、3割は有効、1割は無効(血管運動性鼻炎など、粘膜が敏感な症例)でした。当時は10人に1名が軽度痛みを感じていたようですが、その後、症例が増え、15人に1名程度となっています。

レーザー治療は、あくまでも鼻の症状を軽減する治療であり、永久的に完全に症状を無くしてしまうものではありません。効果 は2〜3年で減弱していきますが、中には10年以上、持続している症例もあり、個人差があります。 また、鼻の機能の保持ならびに安全性(鼻粘膜の火傷を毎年受けていると、発癌の可能性が生じる)の点から、毎年レーザー治療を行うのは医学的に推奨されません。当院では、重症の通年性アレルギー性鼻炎を除き、2〜3年に1回、計5回までとしています。
 


玉子湯温泉の散策コース(福島県高湯) 撮影:2013年9月
 

神宮前耳鼻咽喉科 クリニック


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