update: 2017年1月26日

神宮前耳鼻科 クリニック


花粉症外来

ツリー (2001年12月25日 代々木競技場)   ©Y.KOSEKI


 

はじめに

  ある物質に対して、体が過敏な拒否反応を示すのをアレルギーといいますが、中でも、スギ花粉によって引き起こされるアレルギー性鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)やアレルギー性結膜炎(眼の痒み、流涙)等を総称として、俗に花粉症といいます。アレルギー性鼻炎は、スギ花粉以外にも、ブタクサやカモガヤといった植物の花粉、ダニ、ハウスダスト(家のほこり)、カビなどでも起きます。頻度の高い原因物質でも10種類位あり、1年中遭遇する可能性があります。また、クーラーのついている部屋とそうでない部屋を行き来するだけで、くしゃみや鼻水が出てしまうような、気温の変化に追従できない血管運動性鼻炎と呼ばれるタイプもあります。治療をするにあたり最も大切なのは、「自分が何に対して、どの位の強さのアレルギーを持っているのか」を把握する事です。そして、まず、アレルギーを起こす物質から回避するのが、治療の第一歩になります。
 

検査について

  スギ花粉症があり、5月を過ぎてもまだ症状が続く場合には、カモガヤのアレルギーもあるかもしれませんし、秋口にも症状が出る場合には、ブタクサのアレルギーがあるかもしれません。冒頭に記したように、「自分が何に対して、どの位の強さのアレルギーを持っているのか」を把握する事は、とても大切な事です。また、個人の体質を知る、という事は、治療をする側にとっても、とても助かるのです。例えば、スギ花粉症の患者さんが血液検査を行いアレルギーの程度が弱い事が把握できているとすると、花粉の飛散量が少ないのに症状がおさまっていない場合には、現在服用している薬は効いていない、と判断できるからです。アレルギーの原因物質を調べるには、大きく分けて2つの方法があります。一つは、腕などに、一般的にアレルギーを起こしやすい物質を各種、ごく少量注射し(針で傷をつける方法もある)、15分後に、赤く腫れるかどうかをみる皮内テスト検査と、もう一つは血液検査です。皮内テストは、一度に沢山の種類の物質について調べられ検査代もあまりかかりませんが、強いアレルギーを持っている方の場合には、全て反応が出てしまい、正確でない場合があります。また、検査後かなり痒く、不快を伴います。血液検査では、正確に、その強さまで把握できますが、検査代がかかるのと、結果がわかるまで数日を要する欠点があります。当院では、希望者に血液検査を行っていますが、検査代は、頻度の高い8種類について検査した場合、¥4260です。  

治療法

  民間療法も含めると膨大な数になりますので、ここでは、ごく一般的な治療法についてのみ説明いたします。

抗原からの回避 ‥‥‥ スギ花粉にだけアレルギーがある患者さんは、春先以外の季節に症状が出ません。これは、スギ花粉が飛んでいないからで、つまり原因物資:抗原に接しなければ、アレルギー性鼻炎は起きないという事です。もし、ダニやハウスダストのアレルギーがある方の場合には、畳やカーペット、ベッド、ぬいぐるみ等の掃除をまめに行えば症状が軽減します。地味なことですが、まず「抗原からの回避」が基本です。

薬物療法 ‥‥‥ 抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、注射、各種点鼻薬などによる治療法です。現在、かなりの数のお薬がありますが、それぞれ利点、欠点がありますし、服用する人との相性もあります。例えば、ある患者さんでAという薬がとても経過が良かったとしても、他の人には眠気が強く、効果も今一である場合などです。当院では、私自身(院長)がアレルギー性鼻炎があるので、全ての薬剤を試用し、効果と副作用を確認した上で選別し、処方しています(花粉症の時期に、私がくしゃみをしていたら、新薬を試していると思って下さい)。注射は、アレルギー性鼻炎を軽減するものが主ですが、中にはシーズン前に1度注射をすればOK、という 「予防注射」 と称する治療があります。これは高濃度の特殊なホルモン剤を使用するもので、生理不順、注射後の皮膚変形など、さまざまな副作用がおき る場合がありますので注意して下さい。この注射は、以前から日本耳鼻咽喉科学会でも行わないよう警告しておりますし、当院でも行いません。

花粉症の“予防注射(ケナコルト)”による副作用の例  (21歳 女性)

 - 凹みを伴った大きなアザとなっていて、着る服も制限されてしまっている -

 

減感作療法 ‥‥‥ アレルギーの原因物質を極めて薄い濃度から少しづつ注射し、抵抗力をつける治療法です。ダニなどの通年性アレルギー(1年中症状があるアレルギー)の方や、喘息もある方 、もしくはスギ花粉症を徹底的に治療したい方などが対象になります。週1〜2回の通院(注射)で、維持量に達するのに、4ヶ月くらいかかりますが、一旦維持量に達してしまえば、月1回の注射で済みます。当院で最も成績の良い治療法で、投薬無しでも、ほぼ症状が抑えられている患者様が多数いらしゃいます。情熱と根気のある方は、是非試みて下さい。ただし、注射を止めて しばらく放置しておくと、体質は元に戻ってしまいますので、この点に注意して下さい。

手術療法 ‥‥‥ 手術で鼻の粘膜を一部除去したり、鼻の粘膜にレーザーを照射し、アレルギーを起こす場を減らそうという治療です。レーザー治療については、問い合わせが多いので、別途詳細を下に示しました。

  治療効果の判定は慎重でなければなりません。花粉症の場合には、毎日の花粉の量や、生活環境(例えば昼間 外で仕事が多く、他の人より多くの花粉に暴露する等)で大きく左右されます。これらの事を冷静に客観的に判断しないと正しい判定はできません。新たな治療を試みた年が、たまたま花粉の量が少ない年であったのに「これは素晴らしい!」と判断されてしまったケースや、最終的な効果の判定が、すでに花粉が飛散していない頃になされたために、最後にはとても良くコンロールできた、と判定されてしまったケースに遭遇する場合があり、注意が必要です。くどいようですが、「自分が何に対して、どの位のアレルギーをもっているのか」、「抗原:アレルギーの原因物質と、現在どの位接しているのか」、そしてその結果、「現在、症状がどうなっているのか」、という事をふまえて総合的に判定しなければならないのです

皆既月食 (2011年12月10日)   ©Y.KOSEKI

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レーザー治療について

  鼻粘膜にレーザーを照射して鼻のアレルギーを起こす場を減らし、また、鼻粘膜のアレルギー反応を鈍くしようという治療です。花粉症の場合には、花粉症のシーズン前に治療を終了しておくのが理想です。1年中アレルギー性鼻炎で悩んでいらっしゃる方や、花粉症のシーズン中、症状がつらくて全く仕事にならない方、お薬の服用を減らしたい方が対象です。しかし、治療成績が良く、通常、副作用が無い事から、通常のアレルギー性鼻炎の方にも普及してきている治療法です。レーザーにもいろいろありますが、術後の出血が無く、無痛で照射できる点から、当院ではCO2 レーザーを採用しております。特に、鼻づまりのある症例には効果は絶大で、臭いの回復や、いびきの軽減にもなる利点があります。

  *注意: レーザーは、CO2 でなければいけない、という事はありません。大切な事は、術者がいかに使いこなしているか、という事であって、どの機種を使用しているか、という事ではありません。

  

照射前:鼻の粘膜が腫れ上がり   照射1月後:鼻腔にすきまが形成

鼻から全く呼吸ができない      され、楽に呼吸ができる 

  照射すると、反応性に鼻粘膜が腫れ、鼻水、くしゃみが数日続く場合がありますが、多くは1週間以内におさまります。起こりうる副作用としては、術中の痛み、術後の出血、鼻粘膜の過度の萎縮、鼻涙管閉塞による流涙、鼻粘膜の癒着などが考えられますが、当院では、ほぼ無痛で照射できますし、術後の出血や、他の副作用は、現在までのところ経験しておりません。過度に照射を繰り返すと鼻粘膜が萎縮し、鼻の中にカサブタを形成し易くなって、かえって鼻がつまる可能性が考えられますし、未熟な医師が誤って鼻涙管を傷つけてしまうと、流涙が続くかもしれません。また、照射後、通院をおろそかにすると、鼻粘膜が癒着してしまう可能性がありますので、注意して下さい。照射後、臭いが鈍くなってしまうのではないか、との質問を時々受けますが、臭いを臭いを感じる嗅裂部と照射する下甲介とは、場所が離れていますので、その副作用は、ありません。なお、レーザー治療の効果は、永久的なものではなく、個人差や施設によっても異なりますが、約1〜3年位です。現在、アレルギー性鼻炎のレーザー治療は保険適応が認められておりますので、通常の医療機関では、以前のように何万円もかかることはありません。当院の場合、総計.¥9170です。当院では、基本的に両側同時に1回照射し、必要に応じて追加照射しています。治療後、数回の鼻処置(通院)が必要です。遠方の方や、照射後当院に通院が難しい方の場合には、当院での照射治療後に、お近くの耳鼻咽喉科をご紹介致します。まず初めに当院の一般外来を受診していただき、診察後、レーザー治療の予約を取っていただくようにしております。なお、レーザー治療は、平日の診療時間にも行っていますので、受診時にお問い合わせ下さい。

   *注意: レーザー治療は、あくまでも鼻の症状を軽減する治療であり、永久的に完全に症状を無くしてしまうものではありません。効果には、個人差があります。花粉が多い日には、症状が出る可能性がありますし、眼の症状に対しては、点眼薬が必要です。ダニやホコリに対して強いアレルギーをお持ちの患者さんは、早期に再発してくる可能性があります。 また、長期に渡り数多く照射するのは、まだ安全性が確立していない(治療成績が未定であるし、数多い照射は発癌性の可能性もあり得る)と思われますので、当院では、4回以上の照射は行っておりません。
   

当院の治療成績

 当院では、2000年10月開院以来、 約2年7ヶ月間に571症例(その後症例が増え、2016年1月現在で2453例)に対し693回のレーザー治療を行いました。症例の内訳は、重症例 51%、中等症例 35%、軽症例 6%、血管運動性鼻炎・その他 8% で、他施設からの依頼等で術後、経過の経過が把握できなかった症例は、検討対象からはずしました。症状がほぼ抑えられた症例は 59%、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例は 38%、あまり効果が認められなかった症例は 3% でした。照射2年目の成績は、症状がほぼ抑えられた症例は 29%、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例は 61%、あまり効果が認められなかった症例は 10% でした。また、3年目でも症状がほぼ抑えられた症例が 6例、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例が9例ありました。あまり効果の認められなかった症例は、高度な鼻中隔彎曲症の合併例、粘膜の過敏性が極度に強い例、外での仕事が主で、花粉に暴露する機会が多かった例等でした。また、照射中、たまにピリッとごく軽度の痛みを感じた症例は 9%(照射への影響は無し)、全くの無痛であった症例は 91% でした。術後、出血があった症例は 0%、術後、鼻汁が増えた(途中で受診しなくなったため、その後不明)という症例が 1例、その他、副作用はありませんでした。今後、さらに症例が増えた段階で追加報告致します。
   *2016年12月末現在、2428例に行 いましたが、治療成績等は、ほぼ同様です。痛みに関しては、さらに、その頻度は低くなっています。

ラウンド・タワー (コペンハーゲン)   ©Y.KOSEKI

      

まとめ  (追加も含みます)

 1. 良い治療を受けるためには、血液検査を行い、何のアレルギーを持っていて、

   どの位の程度なのか、本人も治療する側も、しっかり把握する必要がある。

 2. 症状は、花粉の量(暴露する量)とアレルギーの重症度とのバランスが大きく

   影響する。

 3. レーザー治療は、花粉飛散の前に終了していなければならない(当院では12月

   に予約開始)。また、レーザー治療は花粉症の総合的治療の一環として行うべき

   ものであり、レーザー治療のみ行ってもコントロールできるものではない。

 4. 毎年、レーザー治療をするのは、鼻の機能の保持ならびに安全性の点から、

   医学的に薦められない(当院では、2〜3年間隔で総計3回程度)。

 5. 花粉症の治療の第一選択は、内服薬である。減感作療法を除き、注射は、最近の

   優秀な内服薬にはるかに劣り、第一選択になる事はない。

 6. 内服薬を連用して、効果が薄れる事はない。もし、「初めは効いていたのに、だん

       だん効かなくなってきた」という場合には、単に効果の無い薬を服用していて、

       花粉の量が増えただけの場合が多い。

 7. その人に合った内服薬、点鼻薬、点眼薬を選択すれば、治療成績は大きく向上

       する(薬は、すべて同じではない)。

 8. 患者の状態を把握し、症状が落ち着いていれば、1年以内に発売された新薬を

       除き、1ヶ月程度であれば、まとめて一括して処方できる。

  9. 花粉の量がピークの時期には、どのような治療をしていても、多少なりとも症状が

       出る場合が多い。

10. 花粉症を根本的に治す方法は無い。治ったと思っていても、それは単にその年に、

   花粉に接している量が少ない場合がほとんどである。

11. 国は、まじめに日本の植林政策(日本中をスギばかり植林し続け、しかも放置)

       ならびに大気汚染(特にジーゼル・エンジンの排気)の問題に取り組まなければ

       ならない。

          

  *オリコン・エンタテインメント社 「患者が決めた!いい病院」 (関東版 患者30万人アンケート 全1052病院ランキング) 2007年度版 で、

当院が 4位 にランクされておりました。多くの方からご評価をいただきまして、ありがとう ございました。

他院と比べて順位がどうか、という事よりも、評価が86.5点で、100点でなかった事を重視 しています。今後さらに改善し、

少しでも100点に近づけるよう、努力する所存でございます。

 

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表参道の路上販売   © Y.KOSEKI

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